親族が自殺してしまった時、賃貸物件で入居者が自殺してしまった時、原状回復といって清掃をしなければなりません。
今回は自殺した部屋の清掃や後始末について解説します。
後半には清掃費用やモザイクなしで実際の現場の写真も掲載しております。
少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
自殺の後始末は誰がする
結論、自殺現場の清掃は特殊清掃業者が行います。
特殊清掃業者とは自殺や孤独死、火災、ゴミ屋敷など、通常のハウスクリーニングでは難易度の高い清掃を行う業者の事です。
特殊な機材を使って丁寧に清掃するので料金も高いです。状況によっては100万円を超えることも…。
料金が高いので自分で清掃しようとする方もいますが、おすすめしません。
必ず特殊清掃業者に依頼しましょう。
理由は次の3つです。それぞれ解説します。
感染リスクがある
ご遺体から流れだした血液や体液を直接触れると感染症になるリスクがあります。
また、ご遺体の発見が遅れるとハエやゴキブリなどの害虫が発生します。
それらの害虫が病原菌を運び、さらに感染症になるリスクがあります。
特殊清掃業者は、防護服がありますので安全に作業を行うことができます。
技術がある
自殺現場は体液などの直接的な汚れもですが、死臭も除去しないといけません。
特殊清掃業者はオゾン脱臭機など専門の機械を用いて清掃をします。
専門の機械を持っていない人が無理に清掃しても、臭いの元を除去できないので、数日後に死臭がぶり返すことも…。
市販の消臭剤では完全に除去するのはほぼ不可能です。
遺品も整理してもらえる
親族は後に、故人の貴重品や思い出の品と処分するゴミに仕分ける遺品整理の作業をしないといけません。
特殊清掃業者は遺品整理の作業も同時に行ってくれます。
遺品整理と特殊清掃を兼業している業者も多く、スムーズに作業できます。
また、遺品や家具には死臭が染みついていることもあるので、自殺現場では特殊清掃業者に遺品整理も依頼しましょう。
清掃費用の料金相場
間取りごとの料金目安
間取りごとの料金です。部屋が広いほど料金が高くなる傾向があります。
亡くなった部屋の隣の部屋まで死臭や体液が到達している場合があるからです。
そのため、亡くなった部屋のみでは消臭や清掃が完全にできない場合があり、料金が高くなります。
1R・1K | ¥38,000~ | 1DK | ¥60,000~ |
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1LDK | ¥80,000~ | 2DK | ¥110,000~ |
2LDK | ¥130,000~ |
3DK | ¥150,000~ |
3LDK | ¥180,000~ |
4LDK | ¥220,000~ |
作業内容ごとの料金目安
特殊清掃や除菌など項目ごとの料金です。
死臭の強さによってはオゾン脱臭機を連日で稼働させないといけない場合や、残置物の量によっては2tトラックが複数台必要になることもあります。
作業員の人件費 | ¥20,000~ |
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床上清掃 | ¥30,000~ | 除菌剤・消臭剤の散布 | ¥13,000~ | オゾン脱臭機稼働費 | ¥30,000~(1日あたり) |
残置物回収費用 | ¥50,000~(2tトラック相当量) |
上の表に掲載している料金は一部です。お部屋の状況によってはリフォーム費用など発生いたします。
また、家具や家電など状態によっては買取をしてくれる清掃業者もあります。
そのため、特殊清掃の料金が少しだけ安くなる場合があります。
また、ご遺体の腐敗が進行している、害虫が大量に発生しているなどで、料金は大きく変動すします。
あくまで相場や目安の料金ですので、うのみにだけはしないでください。
特殊清掃を依頼する予定の方は下記の記事に、特殊清掃の間取りごとの料金など詳しくまとめています。
こちらも参考にしてくださいね。
参考:特殊清掃の料金相場・追加費用が請求される事例・作業内容【ぼったくり業者に騙されないために…】
当社の作業実績
当社で実際にあった自殺現場の特殊清掃を紹介します。
写真にモザイク加工は施していません。閲覧注意です。
自殺し、8ヶ月後に発見された現場
死因
死因は自殺です。飼っていたペットと一緒に心中を図ったとみられます。
写真奥に包丁がみえますが、現実で追い詰められていたことが考えられます。
現場の状況
お亡くなりになってから8ヶ月後に発見されました。
一軒家の2階でお亡くなりになったのですが、吹き抜けの構造と発見が遅れてしまったことにより、死臭が家中に充満していました。
死臭は外にも漏れており、近隣の方からの通報で発覚しました。
清掃内容
作業日数 | 5日 |
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作業費用 | ¥670,000 |
費用内訳 | 汚染箇所洗浄、除菌剤噴霧費、オゾン脱臭機稼働費、人件費2人×5日、諸経費(防護マスク等)、残置物撤去費 |
費用は誰が負担するの
入居者が自殺した際、親族がいない場合があります。
そのような場合はいったい誰が特殊清掃の費用を負担しないといけないのでしょうか。
基本的に下記の順序で支払いの責任義務を負います。
- 賃借人(遺産・保険金など)
- 相続人・連帯保証人
- 保険会社・保証会社
- 大家さん・不動産業者
前者が支払えない場合は次の支払い義務者へと流れていきます。
例:相続人がいない場合は保険会社へ、保証会社が負担できない場合や大家さんへ
それぞれ詳しく解説します。
賃借人
費用を最初に支払う義務があるのは賃借人です。
自殺した方(故人)と賃借人が同じことがほとんどです。
故人の遺産や保険金などの財産が残っている場合は、その中から支払います。
一般的には子供などの相続人が遺産を相続し、相続された遺産から支払われます。
故人に財産がない場合は次の義務者へ支払い義務が移動します。
相続人・連帯保証人
故人の財産では原状回復できない場合は相続人や連帯保証人が支払わないといけません。
相続人と連帯保証人が同じであるケースもあるので、原状回復の連絡は最初に相続人にすることが多いです。
また故人の負債が資産より多い場合は、相続人は相続放棄をすることがあります。
その場合、相続人の支払い義務はなくなります。
連帯保証人が費用する場合は極度額を設定している場合があります。
極度額を設定している時、連帯保証人には極度額以上の請求はできません。
連帯保証人が保証しなければならない債務の限度額の事を指します。
例えば、賃貸借契約書に「極度額が100万円」とある場合、連帯保証人は100万円を超えた費用は支払う義務はありません。
超えた金額は次の負担者に支払い義務が移動します。
しかし法改正があった2020年4月1日以前に契約をした方は、極度額の適応外です。
保険会社・保証会社
故人の財産もなく、相続人・連帯保証人がいない場合は保険会社・保証会社に支払い義務が移動します。
また、連帯保証人の極度額を超えた原状回復費用が発生した場合も支払い義務があります。
保証会社は、連帯保証人の役目もあります。
ですので一般的に、先に保証会社、次に保険会社に支払い義務を負います。
また、保証会社によって保証内容が変わってきますので、必ず確認しておきましょう。
例:原状回復費用:100万円まで, 遺品整理費用:50万円まで
大家(オーナー)・不動産業者
保証会社の保証外の内容は大家さんや不動産管理会社に支払い義務が移動します。
大家さんの支払い義務は最後ですので、負担は少ないように感じる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、自殺現場の状況や保証会社の保証内容によっては原状回復費用の大半を負担することも…。
費用を安くする方法や孤独死を予防する方法もあり、負担する費用を軽減することも可能です。
自殺や孤独死を予防したいオーナーの方は下のボタンをタップしてください。
失敗しない業者を選ぶコツ
特殊清掃を依頼する場合に失敗したくないですよね。
そのようなときは2社以上に依頼して、相見積もりを取るようにしましょう。
相見積もりは無料の業者が多く、依頼者さまはリスクなく複数の業者を比較することができます。
料金やスタッフの対応を見て、自分が選びたいと思う業者を最終的に決定しましょう。
中には作業がいい加減なわりに、高額な料金を請求する悪徳な業者もいます…。
そのような業者は相場より、明らかに安すぎる料金をお見積もりで提示してきます。
後から追加料金を請求し、結果的に高額な値段になってしまいます。
最悪の場合だと、後日に他業者にやり直しを依頼しないといけない場合も…。
前述していますが、必ず複数社にお見積もりを取って、スタッフの誠実さやお見積もりの内訳の丁寧さなどを比較しましょう。
まとめ
今回は自殺した現場での清掃や後始末について解説しました。
親族の方やオーナーの方はできるだけ早く特殊清掃業者に依頼するようにしましょう。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。