日本では孤独死が増加しており、いずれは大きな社会問題になる恐れがあります。
孤独死はなぜ起きてしまうのか、対策するにはどのようにしたらよいかご紹介いたします。
また、孤独死の現場を発見した時にすべき対処法もまとめました。
ぜひ、最後まで読んでくださいね。
孤独死とは
孤独死(こどくし)とは主に一人暮らしの人が、誰にも看取られることなく、当人の住居で死亡することを指します。
孤独死は亡くなったことに周囲の人が気づくまでに時間がかかることも…。
日本では、単身世帯の増加に伴って、孤独死で亡くなる人の数が増加しております。</p>
孤独死の実情
孤独死はどのような原因で発生するのでしょうか。
また、孤独死の発生数は今後どのように推移していくのでしょうか。
ここからは孤独死の実情と、孤独死になってしまう可能性がある人の特徴について解説します。
死因
上記のように孤独死の死因は病死が全体の2/3を占めています。
(「不明」に関しては、ほとんどの場合、病気に起因した死亡に該当すると考えられるが、データ上読み取れないため、不明のまま計上としています。)
孤独死は高齢者だけに限った話ではなく、若い方でも不健康な生活をしていると急死したり、精神的に不安定な状況が続くと自殺による孤独死に繋がる可能性があります。
また、孤独死の第一発見者になるのは不信感に気づいた親族や職場の関係者が多いです。
死後、日数が経過し、ご遺体が腐乱して発生する死臭によって近隣からの通報で発覚することもあります。
病死と自殺について詳しく解説します。
病死
病死は先のグラフで示したとおり全体の66.9%に及びます。
心筋梗塞など循環器系障害(突発的な発作など)が発生し亡くなるケースや、脳梗塞などの脳疾患で助けを呼ぶことができずに亡くなるケースが多いです。
他にも持病や貧困による餓死・栄養失調などがあります。
病死による孤独死は、食習慣や生活習慣が乱れている高齢者が特に引き起こしやすいと言われています。
自殺
次に孤独死の要因として多いのは自殺です。孤独死全体の9.8%に該当します。
また、自殺による孤独死の70%を20代~40代が占めています。
人間関係の悪化や仕事へのプレッシャーなどで極度のストレスが続くと、精神的に不安定になってしまいます。
不安定な時に相談できる人がいないと、孤独を感じて自殺に陥ってしまうことがあります。
孤独死は社会問題に
65歳以上の一人暮らし世帯が増え、それに伴い孤独死の件数も年々上昇しております。また、日本の平均年齢も上昇し、高齢化も今以上にさらに進むと考えられます。
内閣府が掲載しているグラフを掲載します。一人暮らしの高齢者の割合と東京都の高齢者の孤独死の発生状況です。
参考:高齢者の社会的孤立と地域社会 ~「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へ~
グラフに示している通り、今後は孤独死で亡くなる方が増加する可能性が非常に大きいです。
孤独死件数の上昇次第では、いずれ、日本の社会問題になるであろうと懸念されています。
孤独死する人の特徴
ここまで読んで孤独死はどのような原因で亡くなるのか、いずれ社会問題に発展する恐れがあることはご理解できたかと思います。
では、孤独死になってしまう人はどのような特徴があるのでしょうか?
周囲に下記のような特徴を持つ方がいたら気をかけるようにしましょう。
- 一人暮らしの高齢者
- 貧困
- 周囲とのかかわりがない
- 健康管理ができない
一人暮らしの高齢者
家族や配偶者など、一緒に生活しているパートナーがいると、体調の異変に気付きやすく、孤独感も感じにくいです。
しかし、一人暮らしだとあらゆることを自分で管理しないといけません。
とくに高齢者は病気にかかるリスクが高く、突然の発作が発生した時など、助けてくれる人が周囲にいないことも…。
また、認知症が発症した際に進行にも気づきにくく、悪化すると生活ができずに亡くなってしまうこともあります。
貧困
金銭的な問題を抱えて、経済的に余裕がない人は生活水準を下げなければなりません。
そのため、食生活が乱れ、栄養不足に…。
栄養不足になっても、医療費は払えず、健康な状態へなかなか戻りにくいです。
また、家賃光熱費の滞納による支払いの催促でストレスが溜まり、心身ともに不安定になってしまいます。
そのため、貧困による栄養不足と過度なストレスが孤独死を引き起こすこともあります。
周囲とのかかわりがない
友人や仲間がいない、家族とも連絡を取っていない方は孤独になってしまいます。
周囲から刺激を受けることができず、未来に希望を抱くことができない方もいらっしゃいます。
特にセルフネグレクトの症状が表れた方が周囲にいる場合は要注意です。
セルフ・ネグレクトとは、「健康、生命および社会生活の維持に必要な、個人衛生、住環境の衛生もしくは整備又は健康行動を放任・放棄していること。」と定義されています。
分かりやすくいうと「自分に対しての意欲や関心が全くない状態」のことです。
健康状態や、掃除、ゴミ捨てなど自分の生活に関わる関心が亡くなり、それらのことを一切しなくなります。
セルフネグレクトの症状が現れた方は健康・衛生状態が悪くなる、必要な治療や手助けを拒否するなどの特徴があります。
健康管理ができない
日常の健康管理ができなかったり、持病がある方は孤独死によるリスクが高まります。
肥満やアルコール依存症などで突発的に亡くなることや、持病の発作が起き亡くなることも…。
前者は健康的な生活を送ることや治療で解決が可能です。
孤独死を対策する方法
ここからは孤独死を発生させないためにはどうしたらよいか、解説いたします。
ご家族の方や大家さんはぜひ実践してみてください。
対策方法としては主に下記の3つがあります。
- 定期的に声をかけるようにする
- 見守りサービスを利用する
- 老人ホームを利用する
定期的に声をかけるようにする
一人暮らしの高齢者には、周囲とあまり交流を取らない方もいます。
近所付き合いがない方が孤独死に近いというデータもあります…。
参考:『「あまりにも酷く辛い…」孤独死現場のリアルに迫る|孤独死してしまう方の特徴や孤独死しやすい環境が明らかに』
定期的な声かけが孤独死を防ぐことにつながります。
もしも亡くなったときは、早期発見される確率も上がります。
周囲と交流を取らない方は亡くなってもすぐに気づかれないことも…。
ですので、できるだけ声をかけて交流を取るようにしましょう
見守りサービスを利用する
見守りサービスとは、遠方に住む高齢者の生活をサポートするサービスで、遠距離介護とも呼ばれています。
提供するサービスは企業によって異なり、訪問型やカメラ型などさまざな種類があります。
安否確認や緊急時の対応、安全確保など、高齢者の状況に応じて様々なサービスを受けることができます。
老人ホームを利用する
一人で生活が難しくなったら老人ホームへ入ることもおすすめです。
健康状態の管理や他の入居者との交流が増えます。
また、介護士などスタッフが常にいるので、何か異変があってもすぐに対応してくれます。
よって、孤独死で亡くなる可能性は限りなく下がります。
孤独死が発生…。現場ですること
「部屋で人が亡くなっていた…。」「人が倒れていて、明らかに異臭がする…。」
など、実際に孤独死の現場に居合わせた場合はどのように対処すればよいのでしょうか。
以降は、孤独死現場を発見した時や人が倒れていた時の対処についてまとめています。
ご遺体を発見して焦っている方、もしもの時の対処法を知りたい方は下記を落ち着いて確認してください。
- 冷静になる
- 状況確認
- 指示に従う
冷静になる
静かに呼吸を整えて、パニックに陥らないように落ち着きましょう。
現実を見るのはつらいですが、パニック状態では思いもよらぬ行動をとってしまう可能性があります。
ですので、必ず冷静になるようにしてください。
状況確認
孤独死と思う状況で、亡くなっているかどうか分からない場合はすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。
救急車が来るまでに心臓マッサージや人工呼吸など、蘇生に繋がることは必ず実施してください。
また、発見したご遺体が腐敗しているなど、亡くなったことが明らかな場合へ警察に通報しましょう。
指示に従う
警察が現場に到着したら現場の指示に従い、協力しましょう。
ご遺体の確認や、亡くなった方の情報などを警察に正確に伝えましょう。
なお救急車を呼んだ場合は、必ず救急隊員の指示に従ってください。
警察に引き渡した後の流れは下記記事に詳細にまとめています。
こちらをご確認ください。
参考:【焦らないで】孤独死遺体や現場はどうすべき?正しい対処法と流れ・親族がすべきことを徹底解説
まとめ
今回は孤独死の実態や社会問題化、孤独死の対策法などについてまとめました。
周囲に一人暮らしの高齢者がいる方などの参考になれば幸いです。
孤独死はご遺族や周囲に多大な影響を与えてしまいます。
この記事を読んで孤独死で亡くなる方が1人でも少なることを願っております。