アパート・管理物件で孤独死があった時、大家さんはどうすべき?第一発見者になった時の流れや原状回復の手続きについて解説

特殊清掃

アパートやマンションなどの管理物件で孤独死があったとき、大家さんは管理会社はどのような手続きをすればよいのでしょうか?

孤独死は増加傾向にあり、自分が管理している物件で孤独死になってしまうことも、今後は考えられます。

今回は物件で孤独死があった時の対処法や、流れを解説します。

ぜひ最後まで読んでください。

大家さん・管理会社が取る行動

大家さんや管理会社が管理物件で孤独死を発見した時どのような行動をとれば良いのでしょうか?

実は、「第7回孤独死現状レポート」によると孤独死の第一発見者に大家さんがなる確率は26.1%あり、最も高い確率です。

次点で親族の25.5%です。微差とはいえ親族よりも発見する確率は高いです。

参考:『第7回孤独死現状レポート』

大家さんが孤独死の第一発見者になった際の対処は下記の順序で進行しましょう。

それぞれ解説します。

  1. 警察と遺族に連絡する
  2. 部屋の原状回復
  3. 損害賠償についての協議
  4. 遺品整理
  5. 家賃の清算

警察と遺族に連絡する

管理会社や大家さんが第一発見者になった場合は、すぐに警察に連絡しましょう。

入居者が亡くなっている確信がない時は、救急車を呼んでください。

警察が現場に到着したら、必ず指示に従って行動してください

また、遺族や保証人に連絡先を知っている場合は連絡しましょう。

部屋の原状回復

警察が入居者の死亡を確認した後、現場検証や身元確認を行います。

現場検証が終わり、遺体が運びだされたら、ご遺族に部屋の原状回復を依頼しましょう。

遺族や保証人がいない場合は大家さんが清掃費用を負担する可能性があります。

また、原状回復はできるだけ早く依頼してください。

ハエやゴキブリなどの害虫が発生したり、遺体から出た体液や血液が壁や床に染み込んだりして、清掃の難易度が上がってしまいます。

そうなると、清掃費用も高くなります。

損害賠償についての協議

自殺で亡くなった時、管理会社や大家さんは、相続人や保証人から損賠賠償の請求をすることができます。

自殺によって部屋を貸すことができなくなり、賃貸収入が減少するためです。

※事故死や病死による孤独死は損害賠償を請求することができません。

損賠賠償の請求は相続人・保証人との協議が必須です。協議したうえで請求しましょう。

遺品整理

原状回復が終わったら残った遺品を整理しましょう。

原状回復ができる特殊清掃業者には、遺品整理やゴミ屋敷の清掃を兼任している業者もいます。

業者を探す手間を省きたい時は、兼任している業者に依頼しましょう。

特殊清掃業者と遺品整理業者をそれぞれ探して依頼するのは時間がかかってしまいます。

家賃の清算

孤独死にで入居者が亡くなっても賃貸借契約は相続されます。

相続人がその部屋を手放す場合は家賃などの清算をしましょう。

清掃費用は誰に請求すべき?

前述したように管理物件で孤独死にあった時、オーナーさんが清掃費用を負担しないといけない場合があります。

それはどのような時なのでしょうか、また支払い義務の優先度はどのような順番なのでしょうか。

賃借人(借主)が孤独死した場合は、基本的に下記の順序で支払いの責任義務を負います。

  1. 賃借人(遺産・保険金など)
  2. 相続人・連帯保証人
  3. 保険会社・保証会社
  4. 大家さん・不動産業者

前者が支払えない場合は次の支払い義務者へと流れていきます。

例:相続人がいない場合は保険会社へ、保証会社が負担できない場合や大家さんへ

それぞれ詳しく解説します。

賃借人

費用を最初に支払う義務があるのは賃借人です。

孤独死した方(故人)と賃借人が同じことがほとんどです。

故人の遺産や保険金などの財産が残っている場合は、その中から支払います。

一般的には子供などの相続人が遺産を相続し、相続された遺産から支払われます。

故人に財産がない場合は次の義務者へ支払い義務が移動します。

相続人・連帯保証人

故人の財産では原状回復できない場合は相続人や連帯保証人が支払わないといけません。

相続人と連帯保証人が同じであるケースもあるので、原状回復の連絡は最初に相続人にすることが多いです。

また故人の負債が資産より多い場合は、相続人は相続放棄をすることがあります。

その場合、相続人の支払い義務はなくなります。

連帯保証人が費用する場合は極度額を設定している場合があります。

極度額を設定している時、連帯保証人には極度額以上の請求はできません。

極度額とは…

連帯保証人が保証しなければならない債務の限度額の事を指します。

例えば、賃貸借契約書に「極度額が100万円」とある場合、連帯保証人は100万円を超えた費用は支払う義務はありません。

超えた金額は次の負担者に支払い義務が移動します。

しかし法改正があった2020年4月1日以前に契約をした方は、極度額の適応外です。

参考:『民法改正の影響(連帯保証契約①)』

保険会社・保証会社

故人の財産もなく、相続人・連帯保証人がいない場合は保険会社・保証会社に支払い義務が移動します。

また、連帯保証人の極度額を超えた原状回復費用が発生した場合も支払い義務があります。

保証会社は、連帯保証人の役目もあります。

ですので一般的に、先に保証会社、次に保険会社に支払い義務を負います。

また、保証会社によって保証内容が変わってきますので、必ず確認しておきましょう。

例:原状回復費用:100万円まで, 遺品整理費用:50万円まで

大家(オーナー)・不動産業者

保証会社の保証外の内容は大家さんや不動産管理会社に支払い義務が移動します。

大家さんの支払い義務は最後ですので、負担は少ないように感じる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、孤独死現場の状況や保証会社の保証内容によっては原状回復費用の大半を負担することも…。

原状回復の料金相場

では実際に大家さんが特殊清掃を依頼することになった際、費用の相場について解説します。

間取りごとの料金目安

間取りごとの料金です。部屋が広いほど料金が高くなる傾向があります。

亡くなった部屋の隣の部屋まで死臭や体液が到達している場合があるからです。

そのため、亡くなった部屋のみでは消臭や清掃が完全にできない場合があり、料金が高くなります。

1R・1K ¥38,000~
1DK ¥60,000~
1LDK ¥80,000~
2DK ¥110,000~
2LDK ¥130,000~
2LDK ¥130,000~
3DK ¥150,000~
3LDK ¥180,000~
4LDK ¥220,000~

作業内容ごとの料金目安

特殊清掃や除菌など項目ごとの料金です。

死臭の強さによってはオゾン脱臭機を連日で稼働させないといけない場合や、残置物の量によっては2tトラックが複数台必要になることもあります。

作業員の人件費 ¥20,000~
床上清掃 ¥30,000~
除菌剤・消臭剤の散布 ¥13,000~
オゾン脱臭機稼働費 ¥30,000~(1日あたり)
残置物回収費用 ¥50,000~(2tトラック相当量)

上の表に掲載している料金は一部です。お部屋の状況によってはリフォーム費用など発生します。

また、家具や家電など状態によっては買取をしてくれる清掃業者もあります。

そのため、特殊清掃の料金が少しだけ安くなる場合があります。

特殊清掃業者の選び方

料金相場は分かっても、特殊清掃業者のクオリティは会社によって異なります。

相場より値段が安くても清掃力が高い高品質な業者や、相場より値段高くても清掃力が低い業者などさまざまです。

中には料金だけぼったくろうとする悪徳業者もいます。

ですので、「失敗しない特殊清掃業者の選び方を知っておく必要があります。

下記の記事では特殊清掃業者の選び方を解説しています。選ぶ際に少しでも参考になれば幸いです。

参考:福岡・北九州の特殊清掃業者の失敗しない選び方とは。残置物撤去や遺品整理もできる業者も【即日見積・作業OK】

まとめ

今回は大家さんが管理している物件で孤独死にあった時の対処法について解説しました。

冒頭でも解説しましたが、孤独死は増加傾向にあります。

孤独死保険や見守りサービスといった、孤独死を防止する方法や、孤独死にあっても大家さんの負担を軽減できる保証などもあります。

一人暮らしの高齢者が入居者にいる場合は上記のようなサービスの利用を検討しましょう。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

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