「特殊清掃とは?」「特殊清掃が必要になるタイミングとは?」「特殊清掃が必要になったけど、何をしたらいいの?」
特殊清掃という言葉は広がってきているものの、特殊清掃を依頼したことがある方は少ないと思います。
この記事では、特殊清掃とは何なのか?特殊清掃が必要なケース、特殊清掃の流れを解説します。
特殊清掃にかかる費用や業者の選び方、孤独死の社会問題の実情についても紹介します。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
特殊清掃とは
特殊清掃は、通常の清掃では汚れを落とせない状況下で行われる専門的な清掃作業です。
通常のハウスクリーニングとは異なるケースで行われ、主に以下のような状況で必要とされます。
- 孤独死現場
- 事故・自殺現場
- 不衛生な状態の住宅
- 動物の糞尿・死体処理
特殊清掃が必要なケース
先にまとめた特殊清掃が必要なケースをそれぞれ詳しく解説します。
あてはまる項目がある方は迷わず依頼してください。
孤独死現場
特殊清掃で取り扱うことが多いのが孤独死です。
孤独死は発見が遅れると、遺体が腐敗していきます。
腐敗が進行するとと悪臭を放ち、体液が漏れ出します。
ハエ・ゴキブリなどの害虫も発生し大変なことに…。
汚れが軽度な場合でも、体液や血液に触れると感染症になるリスクがあります。
必ず専門の特殊清掃業者を利用しましょう。
事故・自殺現場
事故・事件現場では警察が現場を調査した後に、清掃をします。
ご遺族には心理的にショックな現場ですので、特殊清掃業者に依頼をしましょう。
不衛生な状態の住宅
いわゆるゴミ屋敷の清掃に特殊清掃が必要な場合があります。
放置されたゴミが悪臭を放ち、ハウスクリーニング業者では臭いが取れない場合があります。
特殊清掃業者が専門の機械を用いて脱臭し、ゴミを片づけていきます。
また、ゴミ屋敷から遺体が発見されるケースもあります。
ゴミ屋敷の清掃は自治体の分別ルールに従ってゴミを処分しないといけないので、自分で片づける難易度は非常に高いです。
動物の糞尿・死体処理
飼い主が孤独死した際に一緒にペットも亡くなってしまうことがあります。
また、賃貸から退去する際や多頭飼いで汚れがひどい場合は特殊清掃の依頼が必要です。
ペット臭が残っていると、管理会社とトラブルにつながることも…。
ペットを飼っている方は汚れや糞尿には気を付けて飼うようにしましょう。
また汚れがひどい場合はすぐに特殊清掃業者に依頼することをおすすめします。
仕事内容
実際に特殊清掃業者はどんな作業をするのでしょうか。
主に下記にまとめた作業をします。
- 原状回復
- 体液・血液などの除去
- 害虫駆除
- 消毒・除菌
- 消臭
現状回復
特殊清掃の業務で、基本となるのが原状回復です。
特殊清掃の現場では、ご遺体から発生する血液や体液によって、床や壁が汚れてしまいます。
また、亡くなってから清掃までの期間が空いてしまうと、ご遺体から死臭が発生します。
死臭や汚れを丁寧に清掃し、部屋を入居時の状態に戻します。
部屋の入居時の状態に綺麗に戻すことを原状回復といいます。
特に死臭に関しては、専門の機械や薬品を使用しないと除去することができません。
ハウスクリーニング業者では表面上では綺麗にすることができても、死臭の元を完全に除去することが難しいです。
原状回復するために、特殊清掃業者が行うことを下記にまとめました。
体液や血液などの除去
ご遺体から発生した体液や血液が付着した床や壁を清掃します。
血液・体液が付着した、布団やカーペットなどは撤去します。
また、床下まで汚染されている場合があり、その場合は床をはがして根本まで清掃します。
害虫駆除
発生した死臭・体液などにハエやウジ虫・ゴキブリといった害虫が発生します。
ご遺体の発見が遅れてしまうと隣の部屋にまで影響を及ぼすことがあります。
また、細菌や病原菌を運ぶ可能性があるため、専門の薬剤を用いて害虫を駆除します。
消毒・除菌
現場には細菌や病原菌が発生し、感染症を引き起こすリスクがあります。
ですので、作業員は防護服・マスクを着用し感染リスクを抑えて清掃します。
殺菌消毒剤を散布し消毒・除菌を行います。
消臭
死臭は強烈な臭いが発生するので、なかなか取れません。
そこで、オゾン脱臭機などの専門の機械を用いて消臭をします。
臭いが強い場合は連日で脱臭機を稼働させることも。
消臭が確実でないと死臭が再度発生することもあるので、消臭は重要な作業です。
その他に依頼できること
特殊清掃を依頼するときに、一緒に作業してもらえることがあります。
追加料金が必要になりますが、他の業者を探す手間も省けます。
- 遺品整理
- 不用品回収
- 不用品買取
- 相続・物件の相談
遺品整理
遺品整理とは、亡くなった方の遺品を必要なものと不要なものに分別し、部屋を綺麗に片づける作業のことです。
ご遺族で遺品整理をすることは可能ですが、量が多いと時間がどうしてもかかってしまいます。
ですので、遺品整理と特殊清掃を兼業している業者に依頼するのがおすすめです。
時間や手間をかけずにスムーズに進めることができます。
不用品回収
遺品整理を通じて出た不要なものを業者に処分してもらうことができます。
行政のルールに従って、ゴミや不用品は処分しないといけません。
そのため、不用品を処分できない業者も一定数いるので特殊清掃業者を選ぶ時は気を付けましょう。
不用品買取
不用品を回収する際に、値段が付く家具・家電がある場合があります。
中には、それらの不用品を買い取ってくれる特殊清掃業者がいます。
清掃費用を削減することができるのでお得です。
※すべての家具・家電を買い取ることはできないので注意しましょう。
物件の相談
管理会社・オーナーに限ったお話ですが、事故にあった物件の買取を行う特殊清掃業者がいます。
事故物件の買取に強い不動産会社と連携している業者も。
事故にあうと物件の価値は著しく下がります。
手放したいと思う方は相談してみましょう。
物件の買取額と清掃費用を相殺することで、手元にお金が増える可能性も十分あります。
ご依頼~作業完了までの流れ
実際に特殊清掃が必要になった時、どのような流れになるのでしょうか。
ご依頼者さま目線で、することをまとました。
特殊清掃は基本的に下記の順番で進行していきます。それぞれ解説いたします。
- 特殊清掃業者へ連絡する
- 現地お見積り
- 特殊清掃の実施
- 立ち合い確認・ご精算
1.複数の特殊清掃業者へ連絡をする
まず、特殊清掃業者にご連絡しましょう。どんな状況なのか、対応してほしいことを事前にまとめておくとスムーズに進行できます。
お急ぎでなければ複数の特殊清掃業者に連絡することをおすすめします。
料金や担当者の対応などを比較することができ、納得のいく業者選びができる可能性が上がるからです。
また、現地のお見積りの日程も調整してください。お見積りの日程はできるだけ早い日付にするようにしましょう。
特殊清掃はご遺体の発見から清掃が迅速に行われるほど、清掃料金が低くなる傾向があります。
清掃が遅れてしまうと、体液が床に染み込み清掃の難易度が上がり、死臭が充満し近隣トラブルが発生する可能性もあります。
そのため、できる限り早い日付に清掃を実施できるよう、日程を調整しましょう。
2.現地見積もり
現地へ特殊清掃業者が訪問し、お見積りいたします。
複数の特殊清掃業者から一番信頼できる特殊清掃業者さんを選びましょう。
3.特殊清掃の実施
特殊清掃業者さんを選んだら、契約し清掃を実施いたします。
お客様によっては遺品整理や残置物の撤去などご依頼する場合があると思います。
それらの作業も同時に実施いたします。
4.立会い確認
作業終了後、現場を確認していただきます。 問題なければ、ご精算し完了です。
依頼する前に知っておくべき落とし穴
特殊清掃業者は、中には悪徳な業者もいます…。
「思ったより金額が高くなってしまった…。」「綺麗になっていない…。」など後悔する方も多いです。
ですが落とし穴を知っておくこと、慎重に特殊清掃業者を選ぶことで失敗は回避できます。
特殊清掃業者を選ぶ際には、注意すべき落とし穴が3つありますので、依頼する前に一度確認してから特殊清掃業者を選ぶことをおすすめいたします。
相場やHPの金額はあくまで目安
提示されている相場の金額と特殊清掃業者のHPの料金を比較して依頼することは危険です。
HPに記載している特殊清掃業者の料金はあくまで目安です。
特殊清掃は現場のご状況によって料金は大きく変動いたします。(遺品整理や残置物処理をするときも同じです。)
そのため、相場の料金とかけ離れた料金になることもあります。
不明瞭な見積もりの特殊清掃業者に注意
曖昧で不明瞭なお見積りを提示する特殊清掃業者には注意が必要です。
- 特殊清掃一式:30万円
- 特殊清掃費用:10万円
- オゾン発生器:5万円
- 人件費(2日×6人工):15万円
合計30万円
A社とB社を比べた時、依頼すべきはB社です。理由は内訳を丁寧に記載し明瞭です。対してA社は不透明で曖昧です。
また、中には最初のお見積りをとても低く提示してくる特殊清掃業者もいます。
その特殊清掃業者は本契約後「リフォームしないと清掃できない…」や「これは追加料金ですね」などと言い、結果的に高額な請求をしてきます。
このような特殊清掃業者には注意してください。誠実で明瞭なお見積りを提示する特殊清掃清掃業者を必ず選びましょう。
不透明な特殊清掃業者さんは悪徳な清掃業者業者が多い傾向があります。
細かく内訳を出せないときはお客様に知られてはいけない理由があるのでしょう。
絶対に依頼してはいけません。
全ての業者が特殊清掃を徹底しない場合も
特殊清掃業者には遺品整理業者は特殊清掃を兼任している業者は多くいます。
特殊清掃には知識とスキルが重要です。
専門の知識・スキルがない業者は根本まで清掃できてないこともあります。
Webページを確認して特殊清掃が本業か、遺品整理やハウスクリーニングが本業か確認しましょう。
特殊清掃が大きく記載してあれば、専門だと思って問題ありません。
とくに臭いに関してはハウスクリーニング業者では対応ができない場合が多く、臭いが残ってしまいます。
死臭は特殊清掃の専門業者のみが除去できます。
ペットの糞尿の臭いや床下のカビ清掃など、より専門の知識が要求されます。
そのため特殊清掃業者でも対応が難しい清掃があります。
依頼するときは、必ず状況や要望等を詳細にまとめてお伝えしましょう。
特殊清掃の料金相場
先に、「料金相場はあくまで目安」と記載していますが知っておいて損はないです。
特殊清掃は一般の方だと初めて経験する方が多く、料金相場について不明な点が多いと思います。
相場を把握しておくことで、悪徳な業者を回避することができます。
よい文章。必ず複数の特殊清掃業者に依頼して、料金を比較するようにしましょう。
間取りごとの料金目安
間取りごとの料金です。部屋が広いほど料金が高くなる傾向があります。
亡くなった部屋の隣の部屋まで死臭や体液が到達している場合があるからです。
そのため、亡くなった部屋のみでは消臭や清掃が完全にできない場合があり、料金が高くなります。
1R・1K | ¥38,000~ | 1DK | ¥60,000~ |
---|---|
1LDK | ¥80,000~ | 2DK | ¥110,000~ |
2LDK | ¥130,000~ |
2LDK | ¥130,000~ |
3DK | ¥150,000~ |
3LDK | ¥180,000~ |
4LDK | ¥220,000~ |
作業内容ごとの料金目安
特殊清掃や除菌など項目ごとの料金です。
死臭の強さによってはオゾン脱臭機を連日で稼働させないといけない場合や、残置物の量によっては2tトラックが複数台必要になることもあります。
作業員の人件費 | ¥20,000~ |
---|---|
床上清掃 | ¥30,000~ | 除菌剤・消臭剤の散布 | ¥13,000~ | オゾン脱臭機稼働費 | ¥30,000~(1日あたり) |
残置物回収費用 | ¥50,000~(2tトラック相当量) |
上の表に掲載している料金は一部です。お部屋の状況によってはリフォーム費用など発生いたします。
また、家具や家電など状態によっては買取をしてくれる清掃業者もあります。
そのため、特殊清掃の料金が少しだけ安くなる場合があります。
平均の特殊清掃費用はどのくらいか
孤独死における特殊清掃の平均費用は下記となっております。
- 原状回復費用:¥381,111
- 残置物処理費用:¥235,839
日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会が2022年11月に発表した『第7回孤独死現状レポート』の調査データです。
原状回復(特殊清掃費用)と残置物撤去で合計¥616,950が平均で発生します。
何度も記載しておりますが、あくまで平均です。
お部屋の状況により料金は変更いたしますので、平均費用を鵜呑みにしすぎないでください。
事例
当社がお受けした特殊清掃について、作業内容や料金などをまとめました。
少しでもイメージが湧けば幸いです。
特殊清掃と不用品回収のご依頼
作業内容
トイレにてお亡くなりになり、トイレ全体の清掃及び消臭。また、部屋全体の不用品の回収
作業内訳(税込み)
- 特殊清掃一式:¥38,000
- 人件費(¥12,000)×4人×4日:¥192,000
- リサイクル家電回収費用 5点:¥15,000
- 2tトラック3.5台(1台¥50,000):¥175,000
- 合計金額:¥462,000
お客様の声
突然祖母が亡くなった連絡を聞いたが、遠方に住んでいるためすぐに直接立ち会えない状況でした。
メールで状況を説明するとLINEのほうが連絡がスムーズに進むのとのことで、途中からLINEで相談をしました。
私の事情を理解していただき、鍵を郵送して依頼しました。
後日、おそるおそる確認したら綺麗になっており、日本資産保全に任せてよかったと心から思えました。
特殊清掃及びゴミ屋敷清掃、不動産買取のご依頼
作業内容
フローリングでお亡くなり、液体が床下まで漏れ、床下解体作業が発生。不用品の回収も実施。ご依頼者さまのご相談により不動産の買取
作業内訳(税込み)
- 特殊清掃一式:¥38,000
- 人件費(¥12,000)×4人×5日:¥240,000
- ゴミ屋敷清掃(1LDK):¥269,000
- 2tトラック4台(1台¥50,000):¥200,000
- 不動産買取価格:¥5,000,000
- 差し引き:¥4,253,000
お客様の声
住んでいた方の親族がいらっしゃらなかったため、物件オーナーの私が依頼しました。
物件を買い取れないか相談したたころ、相場より安い値段でならと快く引き受けてくれました。
結果的に、物件を買い取ってくださった金額と清掃費用を差し引いてプラスになったので良かったです。
孤独死の実情
当社の2つの事例を読んで実際の作業と費用感は理解いただけたかと思います。
以降は、孤独死はなぜ起きるのか、これから増加するのか、減少するのか。孤独死の実情について解説いたします。
親族に一人暮らしの方や、心が疲れている方が身の回りにいらっしゃる方は、とくに注意してお読みください。
孤独死の主な死因
上記のように孤独死の死因は病死が全体の2/3を占めています。
(「不明」に関しては、ほとんどの場合、病気に起因した死亡に該当すると考えられるが、データ上読み取れないため、不明のまま計上としています。)
孤独死は高齢者だけに限った話ではなく、若い方でも不健康な生活をしていると急死したり、精神的に不安定な状況が続くと自殺による孤独死に繋がる可能性があります。
また、孤独死の第一発見者になるのは不信感に気づいた親族や職場の関係者が多いです。
死後、日数が経過し、ご遺体が腐乱して発生する死臭によって近隣からの通報で発覚することもあります。
死臭が漏れ出すと亡くなってから日数が経過していることが多く、ウジ虫などの害虫の発生や、体液が床に染み込んでいるなど、清掃の難易度が高くなります。
一人暮らしの方が親族にいる場合は、こまめに連絡を取るようにし、もしもの時の異変にすぐに気づけるようにしましょう。
孤独死は増加傾向にある
65歳以上の一人暮らし世帯が増え、それに伴い孤独死の件数も年々上昇しております。また、日本の平均年齢も上昇し、高齢化も今以上にさらに進むと考えられます。
内閣府が掲載しているグラフを掲載します。一人暮らしの高齢者の割合と東京都の高齢者の孤独死の発生状況です。
参考:高齢者の社会的孤立と地域社会 ~「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へ~
グラフに示している通り、今後は孤独死で亡くなる方が増加する可能性が非常に大きいです。
孤独死件数の上昇次第では、いずれ、日本の社会問題になるであろうと懸念されています。
孤独を感じている方がいる場合は少しでも関わり、孤独感や悲壮感から脱出させるサポートをしてあげましょう。
まとめ
今回は特殊清掃とは何か、特殊清掃業者の仕事内容や依頼から作業までの流れ、孤独死の実情などについてまとめました。
特殊清掃はほとんどの方が依頼したことがないと思います。
そのため、悪徳な業者は依頼者に知識がないことに漬け込み、高額な金額を請求してきます。
また、孤独死も増加傾向にあることも解説しました。
少しでもこの記事が読んでくださった方の参考になれば幸いです。