入居者が夜逃げや蒸発した時、大家さんやオーナーさんは、部屋に残された家財はどのように処理したらよいのでしょうか。
この記事では残置物を撤去する流れや処分するのにかかる費用・夜逃げや蒸発されないためのリスク軽減策などをまとめています。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
残置物は片づけて良いのか
結論、大家さんは残置物を勝手に撤去してはいけません。
法律的な観点から、窃盗や器物損傷罪、所有権侵害に該当する恐れがあります。
夜逃げしたからと言って、大家さんに残置物の所有権が移動するわけではありません。
また、鍵を開けて部屋に入ることも違法行為に該当します。
賃借人から訴えられる可能性があるので気を付けましょう。
適切な対処法とは
では夜逃げされた時、残置物を片付けるにはどのようにしたらよいのでしょうか。
例えば、ゴミ屋敷の状態で夜逃げされた時、いつまでもゴミ屋敷を放置し続けるのは嫌ですよね…。
適切な手順通りに進めると大家さんが残置物を撤去することができます。
下記の手順で進めましょう。
- 契約書の確認
- 賃貸借契約の解除
- 強制執行の手続き<
- 残置物の処分を始める
1.契約書の確認
まずは賃貸借契約書を確認しましょう。
賃貸借契約書に残置物撤去について記載がされている場合があります。
例えば、「残置物がある場合、賃貸人に所有権が移動する。(賃借人は所有権を放棄する。)」旨の条件が記載されていたら、大家さんは残置物を処分することができます。
この旨の条件がなければ、次に以降します。
2.賃貸借契約の解除
先の条件がないとき、賃貸借契約を解除しましょう。
しかし、夜逃げの場合は本人と連絡を取る場合が難しいです。
ですので、連帯保証人に連絡し、契約解除の手続きを行いましょう。
中には、連帯保証人と連絡がつかない場合や、そもそも連絡保証人を設定していない場合もあるかと思います。
その場合は民事訴訟を起こして賃貸借契約の解除手続きを進める必要があります。
3.強制執行の手続き
賃貸借契約が解除できたら、次に強制執行の申し立てを行いましょう。
※強制執行の申し立てには弁護士を立てる必要があります。
賃貸借契約を解除しても、部屋にある残置物は賃借人のものなので、撤去することができません。
強制執行が認められると、ようやく残置物を撤去することができます。
4.残置物の処分を始める
先にまとめた 1.契約書の確認・2賃貸借契約の解除・3.強制執行の手続きの3つが完了したら、残置物を撤去しましょう。
残置物の撤去にかかる費用は大家さん負担です。
また、撤去する方法は業者に依頼する方法と自分で撤去する方法があります。
残置物が少なく、すぐに撤去できそうな場合は自分で撤去しても良いでしょう。
費用も安く済む場合が多く、大家さんの負担も大きくはないと思われます。
対して、残置物が多い時は業者に依頼した方が、時間的にも体力的にも良いです。
費用は自分で撤去するより高くはなりますが、時間は大幅に短縮できます。
中には残置物を撤去した後に、ハウスクリーニングをサービスする業者もあります。
業者に依頼する時の費用
特殊清掃業者に残置物の撤去を依頼した際の値段を下記の表にまとめました。
下記を参考にしてください。
1K/1R | ¥30,000~¥100,000 |
---|---|
1DK | ¥50,000~¥150,000 |
1DK | ¥80,000~¥300,000 |
2LDK | ¥130,000~¥400,000 |
3LDK | ¥180,000~¥500,000 |
また、残置物撤去の費用平均は15万~35万が相場と言われています。
※ちなみに孤独死が発生した場合の残置物撤去の費用平均は¥235,839です。
あくまで平均なので部屋の大きさや、残置物の量によって料金は変動します。
中には100万円を超えることも…。
悪徳な業者を回避する方法やお得に利用するポイントなど、残置物撤去を業者に依頼しようと思っている方におすすめの記事があります。
詳しくは下記の記事をご参照ください。
参考:【残置物撤去】料金相場と悪徳業者を回避する方法とは?自分で撤去する際の3つの注意点も
夜逃げされないために…
夜逃げされた時、残置物を撤去に大変な思いをしないといけないのは、ここまで読んで理解できたかと思います。
ではそもそも、夜逃げをされないため・夜逃げされた時に少しでも負担を軽減するためにどのような工夫をすればよいのでしょうか
例として工夫できることを下記にまとめました。
- 入居者の見極め
- 連帯保証人を付ける
- 連絡先の入手
- 強制退去させる
- 契約書に残置物に関する内容を入れる
入居者の見極め
まず、入居者を見極めることが大切です。
職業や収入を事前に確認しておき、家賃を滞納する可能性はないか、夜逃げされる可能性はないか、吟味して入居させるか判断しましょう。
連帯保証人を付ける
賃貸借契約を結ぶ際に、必ず連帯保証人を付けるようにしましょう。
夜逃げされた場合の賃貸借契約解除や、滞納した家賃の請求などできます。
また、連帯保証人いることで強制退去の申し立てもしなくてよい場合があり、時間的にも金銭的にも大家さんの負担を軽減できます。
連絡先の入手
夜逃げされた入居者本人と連絡がつかない場合でも、親族の連絡先を入手しておきましょう。
残置物撤去の手続きをスムーズに進めることができます。
強制退去させる
家賃を滞納されたうえに夜逃げされたら、大家さんの金銭的な損失は大きいですよね。
ですので、家賃を滞納する入居者が現れたら強制退去させることも検討しましょう。
滞納した家賃を取り戻すことは難しくても、強制退去させることで、最悪のケースからリスク回避できます。
契約書に残置物に関する内容を入れる
賃貸借契約をするときに先にまとめた「残置物がある場合、賃貸人に所有権が移動する。(賃借人は所有権を放棄する。)」の条件を記載するようにしましょう。
この契約があることで、夜逃げされた際に、すぐに残置物を撤去することができます。
まとめ
今回は、入居者が蒸発や夜逃げされた時に残置物はどのように対処したらよいかまとめました。
間違っても、勝手に残置物を処分することだけはやめましょう。訴訟される可能性があります。
この記事が大家さんやオーナーさんに少しでも参考になれば幸いです。