「孤独死が発生して特殊清掃が必要になった…。」「発見が遅れて、凄惨な状況…。」
孤独死が発生した時、原状回復をして部屋を綺麗にしなくてはいけません。
では、その原状回復費用は誰が支払うべきなのでしょうか?
この記事では孤独死が発生した際に、原状回復の費用は誰が払うべきなのか・料金相場はどのくらいなのか、まとめました。
また、孤独死を予防するための方法や、清掃費用の支払い義務がある時に清掃費用を減らすコツも紹介しています。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
原状回復費用は誰が支払うのか
賃借人(借主)が孤独死した場合は、基本的に下記の順序で支払いの責任義務を負います。
- 賃借人(遺産・保険金など)
- 相続人・連帯保証人
- 保険会社・保証会社
- 大家さん・不動産業者
前者が支払えない場合は次の支払い義務者へと流れていきます。
例:相続人がいない場合は保険会社へ、保証会社が負担できない場合や大家さんへ
それぞれ詳しく解説します。
賃借人
費用を最初に支払う義務があるのは賃借人です。
孤独死した方(故人)と賃借人が同じことがほとんどです。
故人の遺産や保険金などの財産が残っている場合は、その中から支払います。
一般的には子供などの相続人が遺産を相続し、相続された遺産から支払われます。
故人に財産がない場合は次の義務者へ支払い義務が移動します。
相続人・連帯保証人
故人の財産では原状回復できない場合は相続人や連帯保証人が支払わないといけません。
相続人と連帯保証人が同じであるケースもあるので、原状回復の連絡は最初に相続人にすることが多いです。
また故人の負債が資産より多い場合は、相続人は相続放棄をすることがあります。
その場合、相続人の支払い義務はなくなります。
連帯保証人が費用する場合は極度額を設定している場合があります。
極度額を設定している時、連帯保証人には極度額以上の請求はできません。
連帯保証人が保証しなければならない債務の限度額の事を指します。
例えば、賃貸借契約書に「極度額が100万円」とある場合、連帯保証人は100万円を超えた費用は支払う義務はありません。
超えた金額は次の負担者に支払い義務が移動します。
しかし法改正があった2020年4月1日以前に契約をした方は、極度額の適応外です。
保険会社・保証会社
故人の財産もなく、相続人・連帯保証人がいない場合は保険会社・保証会社に支払い義務が移動します。
また、連帯保証人の極度額を超えた原状回復費用が発生した場合も支払い義務があります。
保証会社は、連帯保証人の役目もあります。
ですので一般的に、先に保証会社、次に保険会社に支払い義務を負います。
また、保証会社によって保証内容が変わってきますので、必ず確認しておきましょう。
例:原状回復費用:100万円まで, 遺品整理費用:50万円まで
大家(オーナー)・不動産業者
保証会社の保証外の内容は大家さんや不動産管理会社に支払い義務が移動します。
大家さんの支払い義務は最後ですので、負担は少ないように感じる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、孤独死現場の状況や保証会社の保証内容によっては原状回復費用の大半を負担することも…。
費用を安くする方法や孤独死を予防する方法もあり、負担する費用を軽減することも可能です。
後半にまとめてありますのでご覧ください。
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特殊清掃の料金相場
特殊清掃は一般の方だと初めて経験する方が多く、料金相場について不明な点が多いと思います。
目安となる料金を間取り・作業内容・平均の料金をそれぞれまとめました。
何度も後述してありますが、あくまで相場の料金です。
現場の状況によって作業内容が異なり、相場から離れた金額をご提示されることもあります。
間取りごとの料金目安
間取りごとの料金です。部屋が広いほど料金が高くなる傾向があります。
亡くなった部屋の隣の部屋まで死臭や体液が到達している場合があるからです。
そのため、亡くなった部屋のみでは消臭や清掃が完全にできない場合があり、料金が高くなります。
1R・1K | ¥38,000~ | 1DK | ¥60,000~ |
---|---|
1LDK | ¥80,000~ | 2DK | ¥110,000~ |
2LDK | ¥130,000~ |
2LDK | ¥130,000~ |
3DK | ¥150,000~ |
3LDK | ¥180,000~ |
4LDK | ¥220,000~ |
作業内容ごとの料金目安
特殊清掃や除菌など項目ごとの料金です。
死臭の強さによってはオゾン脱臭機を連日で稼働させないといけない場合や、残置物の量によっては2tトラックが複数台必要になることもあります。
作業員の人件費 | ¥20,000~ |
---|---|
床上清掃 | ¥30,000~ | 除菌剤・消臭剤の散布 | ¥13,000~ | オゾン脱臭機稼働費 | ¥30,000~(1日あたり) |
残置物回収費用 | ¥50,000~(2tトラック相当量) |
上の表に掲載している料金は一部です。お部屋の状況によってはリフォーム費用など発生します。
また、家具や家電など状態によっては買取をしてくれる清掃業者もあります。
そのため、特殊清掃の料金が少しだけ安くなる場合があります。
平均の特殊清掃費用はどのくらいか
孤独死における特殊清掃の平均費用は下記となっております。
- 原状回復費用:¥381,111
- 残置物処理費用:¥235,839
日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会が2022年11月に発表した『第7回孤独死現状レポート』の調査データです。
原状回復(特殊清掃費用)と残置物撤去で合計¥616,950が平均で発生します。
何度も記載しておりますが、あくまで平均です。
お部屋の状況により料金は変更いたしますので、平均費用を鵜呑みにしすぎないでください。
孤独死に対する準備
孤独死はあらかじめ準備することで、防止することができます。
万が一亡くなってしまった時、早期発見につながり、費用を軽減することも。
ここでは4つの対策法をまとめました。
- 定期的に声をかけるようにする
- 見守りサービスを利用する
- 保証人を必ず設定する
- 孤独死保険に加入する
それぞれ解説します。
定期的に声をかけるようにする
一人暮らしの高齢者には、周囲とあまり交流を取らない方もいます。
近所付き合いがない方が孤独死に近いというデータもあります…。
参考:『「あまりにも酷く辛い…」孤独死現場のリアルに迫る|孤独死してしまう方の特徴や孤独死しやすい環境が明らかに』
定期的な声かけが孤独死を防ぐことにつながります。
もしも亡くなったときは、早期発見される確率も上がります。
周囲と交流を取らない方は亡くなってもすぐに気づかれないことも…。
ですので、できるだけ声をかけて交流を取るようにしましょう
見守りサービスを利用する
見守りサービスとは、遠方に住む高齢者の生活をサポートするサービスで、遠距離介護とも呼ばれています。
提供するサービスは企業によって異なり、訪問型やカメラ型などさまざな種類があります。
安否確認や緊急時の対応、安全確保など、高齢者の状況に応じて様々なサービスを受けることができます。
保証人を必ず設定しておく
賃貸借契約時に保証人を設定するようにしましょう。
前述しましたが、大家さんや不動産管理会社の費用負担を軽減することができます。
また、賃借人の家族の連絡先を把握しておくこともおすすめです。
家族は相続人に該当することが多いので、オーナーより先に清掃費用の支払い義務があります。
孤独死保険に加入する
孤独死保険とは、孤独死によって発生する金銭的損失を補填する保険のことです。
家賃の損失や、住居の原状回復費用に充てることができます。
孤独死保険は大きく分けて家主型と入居者型の2種類あります。
一般的に家主型は大家さんが契約者となり、賃借人が亡くなった際に、大家さんが負担する損失を補償できます。
対して、入居者型は賃借人が契約する火災保険の特約として補償を行います。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、じっくり比較して選ぶようにしましょう。
費用を安くするには
原状回復費用を負担することになった時、できるだけ費用は抑えたいですよね…。
ここでは特殊清掃が必要になった際に、費用を抑えるコツを2つ紹介します。
- 複数社に見積もりをとるる
- 売却も視野に入れておく
少しでも参考になれば幸いです。
複数社に見積もりをとる
特殊清掃業者に依頼する時は、必ず複数社に連絡しましょう。
複数の会社の見積もりを取ることで金額感やスタッフの対応などを比較できます。
中には、清掃はいい加減で料金が不当に高い悪徳な業者もいます…。
複数社で比較することで対応の誠実さや見積もりの内容で納得のいく業者に依頼することができると思います。
また、悪徳な業者を回避できる確率も上がります。
緊急でないときは、複数社に見積もりの依頼をしましょう。
売却も視野に入れておく
孤独死が発生した物件は著しく価値が下がってしまいます。
ですので、すぐに手放したい方もいらっしゃるかと思います。
すぐに手放したい方は、事故物件買取の専門業者に連絡してみましょう。
清掃を行う前の状態で物件を買い取ってくれます。
大家さんは物件の売却額に清掃費用を差し引いた金額が手に入ります。
買取額によっては損することなく、物件を手放すことも…。
大家さんや不動産会社は物件の売却も検討してみましょう。
まとめ
今回は孤独死にあった際、誰が原状回復費用を負担するか、費用相場はどのくらいなのかをまとめました。
また、予防する方法や費用を軽減する方法も解説しました。
相続人の方や大家さん・不動産会社さんに少しでも参考になれば幸いです。